« H20.7.24 (仮称)屋内体育施設の建設状況 | トップページ | H20.7.29 (仮称)屋内体育施設の建設状況 »

さまざまな面から災害を考える(エンジニアは謙虚であれ)

080724_ziban_cimg7813  24日午前0時26分ごろ、岩手県沿岸北部を震源とする地震があり、同県洋野(ひろの)町で震度6強を観測したほか、同県野田村と青森県八戸市、五戸町、階上(はしかみ)町で震度6弱を観測するなど、東北太平洋岸を中心に北海道から関東地方の広い範囲で揺れを観測した。(読売新聞より)

 ちょうど昨日23日、「耐震対策・設計法の最前線」を特集テーマとした地盤工学会誌7月号の「エンジニアは謙虚であれ-神戸地震からの13年を振り返る」との表題の論説を読み、皆さんに是非その概要をお伝えしたいと思っていたところ、今回の地震でした。

 この論説は、東京電機大学 未来科学部建築学科 片山恒雄教授が論述されたものです。
 片山教授は、私が建設省に入省した昭和58年に起こった日本海中部地震の調査や「震災構造物の復旧技術の開発」、「災害情報システムの開発」など、当時は東京大学教授としてご指導いただいた方で、阪神・淡路大震災後には防災科学技術研究所所長も務められ、新研究分野の開拓とプロジェクト化を推進してきた方です。

 この論説の中で、私なりに印象深いところをいくつか紹介いたします。(小見出しは、私が勝手につけました)

1)専門家の責任について
 国民の地震に対する関心も総じて高かった。国も自治体も、いろいろな地震対策を進めており、研究面でも世界をリードする成果を生み出していた。(中略)
 それにもかかわらず、なぜあんなに惨めな震災を受けてしまったのだろう。(中略)
 要するに、「専門家の勉強不足」、「専門家の自己満足」、「専門家の説明不足」にあったと考えている。被害を受けた人達の責任は小さかった。

2)地震学者の勘違い
 地震学者は、自分たちがやっている地震学の基礎研究を、世間が「地震予知」と勘違いしていることに気づかなかった。世の中の人たちが考える「地震予知」は、もっと具体的なものだったが、地震学のレベルがそこまで達していないことを十分に説明していなかった。

3)エンジニアの勘違い
 一方、エンジニアは、構造物の上澄みの部分にしか目をやらず、大都市に何十万と存在する地震に弱い木造住宅のことなどあまり考えていなかった。「耐震的な木造住宅を建てることができる」は事実だったが、これが世の中で、「木造住宅は地震に強い」と誤って解釈されても、積極的に誤りを正さなかった。

4)研究者の勘違い
 それから、私のような、カタカナに流れやすい研究者が、「我が国の構造物は十分耐震的になった。これから大切になるのは、ライフラインとか、システムとか、リスク・アナリシスだ」と声高に言い始めていたこともある。構造物が惨めに壊れて人命を奪う震災の可能性は小さくなったと、間違った印象を与えてしまった。専門家が抱いた自己満足がなんとなく世の中に広まり、地震防災への努力がそこで停滞してしまった。

5)最大の地震対策は
 (前略)地震の翌日、震災地で惨めに壊れた多数の建物を見て以来、私はこう言うことにしている。
 「死なないですむという意味では地震予知が究極の防災対策だ。だが、短期的な地震予知はしばらくはできないし、地震が予知されても、弱い建物はつぶれる。地震保険も役に立つだろう。だが、保険に入ったから家が強くなるわけではないし、家の下敷きになれば命を落とす。結局、家が倒れないようにすることが最大の地震対策だ。」

6)エンジニアは謙虚であれ
 (前略)耐震強度の偽造事件に怒りの声を上げた国民は、今や、なぜいらない道路をつくり続けるのかと言いはじめている。道路特別会計の問題はもちろん、官製談合という言葉はいつも建設業と一体に使われている感さえある。建設業は信用できない産業の代表格のように言われる。
 国土の建設に真剣に取り組んでいる大部分のエンジニアは、歯がゆい思いをしているに違いない。しかし、私たちエンジニアにも、技術の上での努力が不十分だった面があったことを認めないわけにはいかない。本報文の初めに述べたように、神戸地震を阪神・淡路大震災にしてしまった原因は、われわれ専門家の「勉強不足」、「自己満足」、「説明不足」にあった。

 最後の「神戸地震を阪神・淡路大震災にしてしまったのは」の部分には、専門家としての「重大な思い、反省」を感じませんか・・・。

 また、役場の職員として、一般市民として、認識を新たにすべきこと、誤解が示されているとも感じませんか。

 質問、意見などお待ちしております。

|

« H20.7.24 (仮称)屋内体育施設の建設状況 | トップページ | H20.7.29 (仮称)屋内体育施設の建設状況 »

災害、防災」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/524388/42786383

この記事へのトラックバック一覧です: さまざまな面から災害を考える(エンジニアは謙虚であれ):

« H20.7.24 (仮称)屋内体育施設の建設状況 | トップページ | H20.7.29 (仮称)屋内体育施設の建設状況 »