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医療や行政、いろいろな機関の連携で被害に備える

121109cimg9522 平成24年11月9日(金)、サンポートホール高松の大ホールで、公益社団法人全国自治体病院協議会の主催で行われた「第51回 全国自治体病院学会 市民公開講座」に参加してきました。副題は、「今こそ見せよう! 自治体病院の底力 ~地域に新たな架け橋を~」となっています。

 医者として当時の現地に対応した寺澤さんからの福島第一原子力発電所事故の教訓についての話や、厚生労働省の長谷川さんからの消防庁や消防の中でどのようなことが行われ、どんな課題が見えてきたのかなど、次のようなプログラムで講演とディスカッションが行われました。

○特別講演(大規模災害)「福島第一原子力発電所事故の教訓」
   講師:寺澤秀一(福井大学医学部 地域医療推進講座 教授)

 

○シンポジウム「大規模災害と自治体病院」
   座長:中島豊爾(岡山県精神科医療センター理事長兼名誉院長)
 ・シンポジスト1「三陸大津波の歴史と東日本大震災から学ぶこと」
   講師:佐藤元昭(岩手県立宮古病院長)
 ・シンポジストⅡ「防災から機器管理への展開 ~想定外災害への備え~」
   講師:白木渡(香川大学工学部教授・香川大学危機管理研究センター長)
 ・シンポジストⅢ「東日本大震災における消防機関の活動及び医療との連携」
   講師:長谷川学(厚生労働省医政局指導課 課長補佐 中四国コンベンショングループ)
 ・ディスカッション

 

○特別講演

121109cimg9603 「緊急被ばく医療に強い緊急総合医養成コース(科学技術戦略推進費)」に携わっていた寺澤秀一(福井大学医学部 地域医療推進講座 教授)さんは、東京出張中で地下鉄の床で雑魚寝していた時に電話がかかり、3月13日には福島県対策本部にいたそうです。

 寺澤さんのミッションは「いかに住民の不安を取り除き、安心させるか」です。

 また、7月には福島第一発電所の5・5号機 救急診療室にいました。この場所には(放射線量が多いということで)今でも救急車は来てくれない。心肺停止の患者さんでも、東京電力のワゴン車が運んでいる状況でした。

 内閣府では福島県を始め各地の被ばく線量を計算し、5月にはWHOが「福島第一発電所事故では、肉体的健康に影響がある放射線量を超えていない」と報告しました。しかし、大丈夫だという報道をマスコミはあまりしませんでした。

 安全を訴える学者より、内部被爆の危険性を訴える学者が、内部被爆に詳しい先生だというような風潮になっていきました。内部被ばくの危険性を強調している科学者は工学の先生ばかりで、放射線生物学者が一人もいない状況でした。

 寺澤さんからは、

・日本の原発事故の際には、住民の被ばく、汚染による肉体的健康被害よりも、精神的健康被害が主体になることを銘記して、住民対策を構築するべきだと思います。
・事前の教育、啓発と発生時の精神的支援体制の構築が重要だと思います。

といった提言もありました。

 また、「住民のサーベイの応援で福島に派遣される医療人は危険だったのか?」と、医療関係者ですら状況を正しく理解されておらず、東北への応援活動に支障があったこと、要介護者の避難で、受け入れ先が決まらずにバスの中で死亡者が発生する事態があったことなど、当時の状況と課題、提言が約1時間にわたり行われました。

 原子力施設周辺の住民の搬送や体表面の汚染検査(サーベイ)で搬送者や医療人が怖がるのは間違っている。原子力施設内から運び出された作業員、自衛隊、消防職員の搬送や救急治療を搬送者、医療人が怖がるのは間違っている。福島の食べ物、飲み物、ガレキなどを怖がるのは間違っている。

 風評被害は避けられず、甚大です。出来るだけ被害を最小限にするため、事前の一般人への教育が重要です。学校教育から変えていく地道な努力が必要だと思います。

 そんな言葉で講演は締めくくられました。

 

○シンポジウム

121109cimg9658 当時消防庁にいた長谷川学(厚生労働省医政局指導課 課長補佐 中四国コンベンショングループ)さんからは、東日本大震災の発生に伴う消防庁の対応について、今すぐ出した方が良いのか、もう少し待った方が良いのか議論があった。長官が「消防法を持ってこい」 そこには消防長長官が出せと指示すれば出せることとなっている。「俺が責任をとるので出せ」となったこと、DMAT活動における課題などについて生々しい話を聞くことが出来ました。

 原発事故に対する対応では、「医療、技師を送り込んだが、空間線量の情報を把握していなかった」、「自衛隊、消防はドクターを連れてきていた。東京電力の職員を守るドクターがいなかった」、さらには「文科省が所掌している中で、厚労省が出しゃばるな!」との状況があったそうです。

121109cimg9686 最後はシンポジストによるディスカッションです。

 香川大学の白木教授からは、我が国の防災の文化は世界に冠たるものがあるが、危機管理、起こったときの備えはまだ。悲しいことを美談として終えるのではなく、科学的に照査し、次に起きたときには防げるように。

 長谷川さんからは、マスコミの情報の伝え方や、死にたいという中学生が急増しており、精神科は頑張っていかなければならない。

 そんな話を聞け、座長の小熊さんの「いろいろな機関と連携し、行政と一緒になった訓練はどこもやっていない。訓練が出来ていないと、何も実現できないことを持ち帰り、取り組んでいただきたい」との言葉で、全てのプログラムが終了いたしました。

 市民公開講座の様子をまとめました。
「121109_byouin.pdf」をダウンロード(747KB)

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