« 2017年11月 | トップページ | 2018年1月 »

2017年12月

災害時には利用可能な”空間”も限定される

平成29年12月22日(金)、香川大学幸町キャンパスで行われた「香川大学四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構セミナ-」に参加してきました。

講師は、阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター 主任研究員の本塚智貴さん。テーマは「災害対応のための空間リソースの評価」です。

熊本地震の際には4月14日から現地に入り、熊本県庁や益城町の災害対策本部の14日朝の状況、16日本震直後の状況などを紹介いただきながら、災害対策本部の「空間」、「場」として必要な機能を説明いただき、現地では次のようなことが起こっていました。

・熊本県庁では、4月15日には人や物資を益城町に集中させる準備が進み、1ヶ月もすれば一段落できると考えていた。
・携帯電話が使用できたので、近くの避難所の情報を得ることが出来、「ジャニーズが炊き出しに来る」との情報で隣の避難所に行ったり、流浪する避難者(車)が出てきた。 → このような人は避難所運営に関わらず、運営に支障が
・災害対策本部では議事録を作ることがされていなかった。
・課題を明らかにしていない、将来のことを考えられていなかった。

益城町役場では、

・本庁舎は非常用電源・電話が使えず、保険福祉センターへ本部を移すことに。
・災害対策体制は避難所対応に追われ、物資と衛生、道路啓開、役場機能の班しか置けなかった。
・4月16日 本震発生 建物が使用可能かを判断できる専門家不在で、庁舎を移す事を検討を。
・益城町役場大会議室 約130m2 益城町の人が居ない災害対策本部。他のプロジェクトチームは、男女共同参画センターなどの施設に分散して置かれた。活動する場は出来たが、活動や情報を共有することに支障が。
・避難所として使う体育館にも被害が発生し、本震後は避難所が不足した。

といった状況とのこと。

益城町では、全職員が避難所対応にあたっていた事から、役場機能が停止していたことが指摘されているが、

・住民の方からは役場職員へのクレームはない。区長さんや地域住民が避難所運営をすることの認識が無い状況では、役場職員が避難所対応をする対応は間違いではなかった。
・区長さんは通行証で物資の引き取りに来てくれた。区長はガソリン代も車費用、労務費用、電話代も何も言わずに対応してくれた → かけ放題のプランにしておくべきだった
・本部空間の移転ということ、情報共有という点ではうまくいっていなかった。
・公的な空間で確保が出来ないとき、民間や地主さんと交渉を速やかに開始した。 → 空間マネジメントの観点からは評価できる

災害現場はそれぞれ違い、ベストな対応も、災害や場所それぞれで違ってくる。
そのベストをより良いものにするためには、備え訓練キーパーソンが大事だと感じた90分でした。

セミナーの様子をまとめました。
「171222_seminar.pdf」をダウンロード(200KB)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

我が事として真剣に考え備えさせて始めて防災教育

171204___1平成29年12月4日(月)、サンポート高松4階 第1小ホールで香川大学四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構の主催で行われた「平成29年度 香川大学危機管理シンポジウム」に参加してきました。

テーマは「多発する自然災害から命を守る防災教育のあり方」です。基調講演はTVにもよく出演されている慶應義塾大学の大木聖子さん、パネルディスカッションのテーマは「命を守る防災教育の在り方」です。

スタートは、地域強靱化研究センター長の金田義行特任教授から「機構の活動状況報告」です。
機構の取り組む7つの部門と各分野の課題、今後の方針について説明があり、「日本は地震・津波・火山噴火多発国であり、忘れなくてもこれらは必ず発生する。そのため、備えの減災科学の進展、国土強靱化の推進が必要不可欠である」と締めくくられました。

 

大木聖子さんの基調講演の演題は「これからの防災教育 ~人を育む・未来を創る~」です。

・「うちの地域は大丈夫」「神戸は一度起きたのでもう大丈夫」 ← 科学的に間違っている
・地震の定義は「地面が割れる」こと。割れが伝わる速度が秒速3km → マグニチュードMの大きな地震は長く揺れている。
・揺れている時間が長ければ、大変な地震が起きていると判断できる。
・まちを歩いていて、地震のMや深度がわかるわけがない → 揺れの長さから、地震の規模や津波の可能性を判断して命を守る行動を

「東日本大震災で、14時46分に亡くなった人はほとんどいない。津波がくる30分間に何も出来なかった。本当には地震や津波のことを考えていなかったから」と、地震を研究してきた者としてどうしておけば命を救うことが出来たのだろうとの強い思いを感じました。

では、どうすれば防災を自分事として考えられるのか。
土佐清水市での「防災小説」の取り組み、子どもたちが作った色鉛筆の地図、子どもたちが防災の表舞台に出て作った地図の紹介がありました。

学校が南海地震発生の(近未来の)日付と天気を発表。その時の自分を想像しながら、自分や家族、町がどうなるかを800文字程度にまとめる。ルールは、小説は希望を持って終えること。
防災のための学習をすることなく、2時間で作文。小学校からの防災教育の知識で書き上げた。

臨場感のある子どもたちの書いた小説を聞いた大人は、老人は、あきらめて死ぬわけにはいけない。

中学生の防災小説:「まだ」起きていない南海地震を「もう」起きたかのように語る。専門家:未来のことを今後の可能性として伝達する。どちらが未来を変えられるか。

テストでいう正解と、発災時にその行動をとれることは別。どんなときも、あなたの命が大事だということを伝える。それが防災教育。

そんな言葉で締めくくられました。

 

命を守る防災教育の在り方」と題したパネルディスカッションでは、防災教育の取り組み状況や課題、対応などについて話しあっ割れました。

・防災教育は特別なモノではない。日常の延長上に災害対応があり、日常生活と災害対応はリンクしていることを意識すると災害対応もスムーズに進む。
・自分ごととして実感させることを心がけている。
・五感を活かせば、人間強みと弱みがあり、互いに補完しあうことで学校、地域を守れる。
・教員には避難所運営には関わりたくない、学校が被災することを考えたくないとの人が多い。
・熱心でない方は役割通り、文面通りに動く方が多い。百人の人が一歩前に進んだ方が救える命が多くなる。みなさんが共通の意識を持って、全員で参加することが大事。
・学校も教育という目的に熱心に取り組んでいる。学校の目的が教育から命を守ることに目的が変わったとき、それは僕の役割ではないと言っていられない。

そのようなやりとりが行われ、最後は白木センター長から「知識を講義で伝えるだけのスタイルの課題を感じた。香川県の防災力の向上が、四国の防災力の向上を担っている。みなさんで実践していきましょう」と締めくくられました。

起きないで欲しいと思っていても必ず来る巨大災害。

それを我が事として真剣に考え、備えておくことが自分の、家族の、組織の、地域の、香川の、四国の防災力向上に繋がります。

シンポジウムの様子をまとめました。
「171204_sympo.pdf」をダウンロード(679KB)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2017年11月 | トップページ | 2018年1月 »